ぐりまの読書日記

読書が好きです。本の感想など。

なかなか完結しないシリーズ(後編)

めちゃくちゃ面白くて続きが気になるけど、何年経っても何十年経っても完結しないシリーズってあるよね。半分諦めながらも、ネットで新作情報を定期的に検索してしまったり、10年越しの続編刊行に歓喜したり。そんな、私たちを虜にしてやまないシリーズたち…

『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき 感想

宮部みゆきの文庫本新刊が、本屋さんに行くとずらりと平積みされていた。「昨日がなければ明日もない」という、なんだかリズミカルで意味深なタイトル。 黒地に素朴なイラストの雰囲気にも惹かれ、手に取った。どうやら、探偵もののシリーズの中の、短編集ら…

新刊を待つもどかしさと、楽しさと。 〜なかなか完結しないシリーズ〜(前編)

シリーズものの本をリアルタイムで追いかけるのって、 楽しいけど、続編を待つ間がもどかしくて辛いですよね。割とコンスタントに新刊が出るシリーズならまだ耐えられるけど、 中には5年に一冊くらいの頻度でしか進まないシリーズもあったり、 いつ続編がで…

『麦の海に沈む果実』恩田陸 感想

世の中に面白い本はたくさんあるし、素晴らしい作家さんも大勢いる。 誰のどの作品が一番好きか、なんて質問をされたときは、決めかねて困るので、とりあえずの暫定的な答えをするようにしている。けれども、物語の幕開けと幕切れに関しては、私の乏しい読書…

大人になっても読みたい!海外ファンタジー5選

【今週のお題】今こそ読書感想文皆さんは、子供の頃、海外のファンタジーを読んでいたでしょうか。 ハリーポッターに、ダレン・シャン、黄金の羅針盤、デルトラ・クエスト…。 面白い海外ファンタジーは、数えてみれば山ほどあって、幼い頃、時間を忘れて読み…

『巴里マカロンの謎』米澤穂信 感想〜相変わらずな小鳩君と小佐内さん〜

あらすじ 小鳩君と小佐内さんは、互恵関係に従い、ある日の放課後、名古屋のスイーツ店までやってきた。 小佐内さんのお目当ては、パリで修行したというパティシエのマカロンなのだが、なんと、小佐内さんが3つ頼んだはずのマカロンは、二人が目を離したす…

『りかさん』梨木香歩 感想

あらすじ縁あって、おばあちゃんのおうちからようこのもとへやってきた市松人形、「りかさん」は、とても気立てのいいお人形だった。ようことお話もできるし、かしこくてやさしいし、ほかの人形に込められた思いを写し出して、こじれた思いを解決してあげる…

十二国記『白銀の墟 玄の月』小野不由美 感想 ~辻村深月さん「十二国記と私(小説新潮)」についても※オマケ~

ついに戴国のお話に結着がついた…!!とにかく結末が気になって、とばし読みで一通りは読んだものの、まだ気持ちが十二国記の世界から戻りきれてない。 まだじっくり読んだわけじゃないので、読み返せばもっと感じることはあるんだろうけど、 自分の中でも整…

『いつかの岸辺に跳ねていく』加納朋子 感想

あらすじ 護(まもる)の幼なじみ平石徹子は、昔から少し変わった行動をする子だった。見知らぬおばあさんに突然抱きついたり、授業中に急に涙を流したり。自分のおかしな行動の理由を決して人には話さない徹子だが、彼女が誰にでも公平で優しい心を持ってい…

『いまさら翼といわれても』米澤穂信 感想

古典部シリーズ6冊目。短編集。 主な時間軸は、奉太郎達が高校2年生の5月から6月、7月ごろ。 あとがきで作者は「本書に収録されている短編は、どれも、いつかは書かれねばならなかったもの」と述べている。 「箱の中の欠落」 ある夜、奉太郎は里志に突然…

『図書館の魔女』高田大介 感想

あらすじ 鍛冶の里に育った少年キリヒトは、師匠の命を受けて、東西の文物が集まる都、一ノ谷に赴く。そこには、王宮の奥にひっそりと、古来からの書物を集積した図書館が聳えていた。この図書館の主として、司書ハルカゼ、軍師キリンと共に、幾多の書物を自…

じわじわ怖い『残穢』小野不由美

あらすじホラー小説家である「私」は、かつて著作のあとがきで、怖い話を募集していた。そのため、今でも「私」のもとには、ときおり読者からの怪談が届く。 ある日、読者の「久保さん」から届いた一通の手紙には、こんなことが書かれていた。「住んでいるマ…

何気なくて小さくて貴いもの~「風信」(十二国記『丕緒の鳥』)感想~

あらすじ 慶国の動乱により、家族を全て失った少女、蓮花は、故郷を追われ隣国へ逃げる道すがら、景王舒覚の死を知る。帰る場所を失い、空っぽになった彼女がそのまま留まった町、摂養では、候風という浮き世離れした研究者達が、ひたすらに暦を作って生活し…

「円紫さんと私」と私~『六の宮の姫君』北村薫 感想~

※記事のなかで、 小説の主人公:〈私〉 この記事の筆者のこと:私 と表記しています。 わかりにくいですが悪しからず。あらすじ 大学四年生になった〈私〉は、出版社でアルバイトを始めた。そこで出会った文豪から、芥川龍之介が、自作『六の宮の姫君』につ…

『発現』阿部智里さんの新ジャンル

先日「王様のブランチ」で紹介されていた、阿部智里さんの新刊、『発現』。 気になって、早速読んでみた。阿部智里さんといえば、言わずと知れた人気ファンタジー、「八咫烏シリーズ」の作者である。 『RDG』シリーズのスピンオフ作品の解説の中で、「荻原規…

『日日是好日~「お茶」が教えてくれた15のしあわせ~』森下典子 感想

私は「茶道」をやったことがない。 今のところ、習う予定もない。 だから、「茶道」というものがどんな ものなのか、ほとんど知識が無い。 お作法とかが面倒くさそう、というのと、お金持ちのお嬢様や奥様がする習い事、みたいなイメージくらいは、辛うじて…

『黄昏の岸 暁の天』(十二国記)小野不由美 感想~新作第一稿完成のニュースに寄せて~

去る12月12日、昼ご飯を食べながら、「そういえば十二国記の新刊ってまだ出ないのかなー」とふと思いついた私は、何の期待もせず新潮社の公式サイトを開いてみてびっくりした。 「待望の新作がついに!」だって!? なんと、新刊(長編)の第一稿が新潮社に…

『本と鍵の季節』米澤穂信 感想

米澤穂信の新刊を読んでしまった。 期待を裏切らない面白さと、予想通りのほろ苦さ、ますます磨きのかかった読後感の割り切れなさ。 さすが米澤穂信だなーと思う。この本は、高校2年生の堀川次郎と、松倉詩門の話だ。二人は図書委員で、そこそこ気の合う友人…

北村薫さんが大学で講演をしたらしい

今朝新聞を見たら、ミステリ作家の北村薫さんが、西南学院大学で講演をしたという記事が載っていた。 いいなー!!講演を聞けた学生さんがうらやましい。 さっそく記事を読んでみた。講演のタイトルは、「読むこと、書くこと」。記事の中の、北村さんの言葉…

『樹上のゆりかご』荻原規子 感想

今週のお題「読書の秋」 ファンタジーの名手、荻原規子さん。 その作品には、『西の善き魔女』とか勾玉三部作とか、重厚で本格的なファンタジーがたくさんある。 そんな荻原作品たちの中で異彩を放つのが、学園モノの名作、『樹上のゆりかご』。今回は、ミス…